本棚の宝物

読書感想が中心です。あとは、日々のちょっとしたことと 手作りした作品などなど。

綿矢りさ

「私をくいとめて」 綿矢りさ



私の人生って、つまんない?」
「正直に答えてよ、A」。

黒田みつ子、もうすぐ33歳。
男性にも家庭にも縁遠く、一人で生きていくことに、なんの抵抗もないと思っている。
ただ時々、「正解」が見えなくて、迷ってしまうことも・・・。
そんな時は、もう一人の自分「A」に脳内で相談をしている。

私やっぱり、あの人のこと好きなのかな。
でも、いつもと違う行動をして、何かが決定的に変わってしまうのがこわいんだ――。

感情が揺れ動かないように、周りとうまく調和するように。
「おひとりさま」を満喫しようと、繊細に気を配るみつ子。

同世代の女性の気持ちを描き続けてきた著者による真骨頂。
著者初の新聞連載小説


主人公が頼りにしているのは、シリでもアレックスでもない
脳内の自分の分身、「A」
自分の事を最もわかってくれていて、自分のためになる助言をしてくれる。
すべておひとりさまで完結。

子供の頃ならそんな「もう一人の自分」遊びもあったけど・・・

なんだかもどかしい人

依存しているAだって自分自身が積み重ねてきた経験をもとにした人格なんだし、
誰にも迷惑かけていないのだけれど  

ハリネズミの抱擁のごとき30代の恋愛
こんなにも距離感を保ちつつおずおずと進行していくものか。。。

共感はできないけど、好感はもてるみつ子。
無理せず幸せになってください

「かわいそうだね?」 綿矢りさ



同情は美しい、それとも卑しい?

美人の親友のこと、本当に好き?

誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。

デビューから10年、綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。



これも、表紙で選んだ1冊

テーマは 「おんなごころ」。 ちっちゃいちっちゃい世界観なんだけど
わたしは、とってもおもしろかったです 

2篇とも主人公に好感がもてた。

「かわいそうだね?」の主人公 販売員の樹理恵は、
東京で一人暮らし。仕事もしっかりがんばっている。
華やかな職場だって、働く苦労はいろいろあって・・・

おしゃれするのだって、インテリアに気を使うのだって
女の子としてきちんとありたいっていう心意気だよね。
恋人とのメールの文面も爽やかな言葉遣い。

それを恋人の元彼女・・・の何もかもだらしない女にかき乱されていくのが辛い
いい年してベタベタのラブメールを恥ずかしげもなく多用するとこもイヤ(笑)

人としてもフェアでありたいという主人公のムリが痛々しくも、なんか笑える作品



「亜美ちゃんは美人」 はストレートすぎる題材ながら
高校生の友達関係なんてリアルで切ない。

誰だって引き立て役なんかいやだよね
美人の親友をもった苦悩がとっても痛ましい。

ところが、社会人になってからの えー?っていう展開もおもしろいし、
個人的に冷静な男、小池君みたいな人がいたら是非お話したいです

よく男子が言う、「女子がかわいいっていう女友達はかわいくない」説
女は嫉妬深いから自分よりかわいい友達は絶対紹介しない・・・って意地悪な見解らしいけど、
違う気がする。
例えば、亜美ちゃんはさかきちゃんのことを本当にかわいい素敵な女の子だと思ってたと思うもん。


「夢を与える」で、なんかもう綿矢りさは読まないかも・・・
と、思っていましたが、いいじゃない。この感じ  

「夢を与える」 綿矢りさ

幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。
ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。
成長する少女の心とからだに流れる18年の時間を描く待望の長篇小説
本


綿矢りさの芥川賞受賞後、初めての作品。
久しぶりで、長編で、期待してたんだけど・・・


はっきり言って、ちょっと期待はずれ。
若くして成功する主人公の少女が傷ついていく様は、あまりにも痛ましい。
でも、なんか登場人物もストーリーもとっても平板でうすっぺらいの。
「インストール」や「蹴りたい背中」の生命感はどこにもない。


どうしちゃったの?綿矢りさ(T▽T)


まわりにちやほやされながらも孤独を深めていく主人公みたいに
受賞後よっぽど嫌なことあったのかしら?と勘ぐってしまいそうになる。
だったら、注目されるが故の苦悩をもっと描きようもあったんじゃないかなぁ・・・
これじゃ、つぶれていく女の子の言い訳の物語にしか感じられない。



比べられるのも本人には迷惑な話だろうけど、同時受賞の金原ひとみの方はコンスタントに作品を発表してる。
わたしは、「蛇にピアス」には何ら新しいものを感じなかったので
他の作品はぜんぜん読む気にならないんだけど。
プレッシャーに負けず書き続けるのは、すごいと思うわ。


綿矢りさもこれで終わらないで欲しい。
また、おもしろい作品期待してるからねーーー




「インストール」 綿矢りさ

「蹴りたい背中」がわりとおもしろかったので、読んでみた。
同じこと考える人が多いらしく、図書館でもけっこうな順番待ちでした。

2001年、作者が17歳のときの作品。
作家が若いことが騒がれる大きな要因とは思うけど、素直におもしろかったよ^^
拗ねても熱くもない女子高生とやけに落ちついた小学生がエロチャットを商売にするって話なんだけど、
ムリのない流れなのがおかしいの。
頼まれて他人のパスで人妻の風俗嬢のふりをして、早朝から有料サイトで会話を続ける。
そんな簡単ならぼろ儲け~なんてね(笑)
他人になりすますって、最初は楽しいけどねー
そこは、お気楽な人ばかりじゃないし、
なにやら面倒そうな人もいて当たり前。
相手は文字じゃなくて人間なんだものね。
それって忘れそうなことだけど。
思うんだけど、人を楽しませるのって怒らせるより数倍難しいことで、
どんな相手にも対処するって頭使うよね。
実際に人と接する場合でも、会話だけでも。
どんな状況でもするっとスマートにやり過ごすのは難しいってことかな。
現実の問題からは簡単に「落ち」ることはできないから、また向き合わなくちゃならない。
主人公は人間関係に不器用な人を嫌悪しつつ、自分の不器用さも自覚している。
そんな自分を冷静に観察しているようなスタンスがおもしろくて、ある種リアル。
蹴りたい背中と共通する感じかなぁー

エロも仕事にしないで趣味にとどめておくのが趣があっていいようです^^
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プロフィール

樹里

本が大好き。図書館ヘビーユーザーです。
編み物やビーズで手間のかかるモノを作るのも好き。
ラルクアンシエルらぶ。

好きなテレビ番組は「ブラタモリ」タモリが持ってた江戸の古地図ハンカチが欲しい!

好きなアニメは「東京リベンジャーズ」と「呪術廻戦」関東事変も渋谷事変も終わってしまって寂しい。早く続きが見たい^^


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