ある朝、通勤と反対方向の電車に、魔が差して乗ってしまった。山の中をさまよい、戻ってくると、誰もマスクをしていない!
今朝の会議はユーツ。こんな生活、いつまで続けるんだ……
ぐだぐだ考えているうちに出てしまった下り電車は「急行」。
次々と通過していく駅を見ながら40歳の野崎修作は「ろくでもない毎日からの脱出」とサボりを決める。スーツで山に登り、「日常」に戻ると……
ん? 何かおかしい、街も家も会社も。
どこかで聞いたような疫病が世界を分断していた。新宗教の持つ票があらゆる選挙を左右するらしい。「正義」に縛られた人たちはネット上で……
ここは私のいるべき場所じゃない。
私の世界へ帰るのだ
日常と非なる世界に迷い込んでしまう、異世界モノなんだけど、
かなり似ているだけに余計怖い。。。
見知っている人物の別の顔を見せられてしまったような。
そして事情は違うけど、なぜこんな世の中になってしまったか容易に想像はできる人間と社会の暗部。
「ろくでもない」と逃げ出した日常に戻りたくてたまらないのに、どうやっても戻れない
いつもの荻原作品らしく、コミカルな明るい語り口で展開していくので楽しく読める。
呆れたり、笑ったりしていられない、一歩間違えばそんな社会になっていたかもしれない分岐点はいろんなところに潜んでいるのかも