椰月美智子
祖母から母、そして娘へ。悩める少女たちに伝えたい感動の命の物語。
41歳の夏、同窓会に誘われた遼子。その同窓会には、蔵のあるお屋敷に住むの憧れの少女・四葉が来るという。30年ぶりに会える四葉ちゃん。このタイミングで再会できるのは自分にとって大きな一歩になるはず――。
小学校5年生のある夏。放課後、遼子と美音は四葉の家でよく遊ぶようになった。広大な敷地に庭園、隠居部屋や縁側、裏には祠、そして古い蔵。実は四葉の家は幽霊屋敷と噂されていた。
最初は怖かったものの、徐々に三人は仲良くなり、ある日、四葉が好きだというおばあちゃんの歌を聞きに美音と遼子は遊びに行くと、御詠歌というどこまでも悲しげな音調だった。その調べは美音の封印していた亡くなった弟との過去を蘇らせた。四葉は、取り乱した美音の腕を取り蔵に導いて――。
少女たちは、それぞれが人に言えない闇を秘めていた。果たしてその心の傷は癒えるのか―。輝く少女たちの物語
地味だけど、優しい作品。
「見えない世界」が心を癒してくれる場面は涙がでた
生前は自分の気持ちを言葉にできなかった子に
「ありがとう、大好きだよ」なんて言われたら泣ける
生きている間に大切にしていたって、後悔が残らないなんてことはないから。
その言葉が聞きたくて怪しげな霊の世界にたよってしまうことだってあると思う。
半信半疑でも心地よい言葉を求めて騙されてしまうかも。。。
四葉のお母さんが言った「危険な目」とはそういう意味ではないでしょうけど
ただ、そのときの言葉が遼子に親しい人の死を苦しみながらも自力で乗り越えさせたのだと思う。
蔵のことを思い出さずに。
普段はあまり興味のないテーマだったけど、
大きな古いお屋敷を探検するようなわくわくする気持ちや
自分ではポエムだと思って綴っていたのが、ただの箇条書きだったりなど
子供の頃の思い出が瑞々しくて楽しめました
同じ名前の男の子を育てる3人の母親たち。
愛する我が子に手をあげたのは誰か――。
静岡在住・専業主婦の石橋あすみ36歳、夫・太一は東京に勤務するサラリーマン、息子・優8歳。
神奈川在住・フリーライターの石橋留美子43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇8歳。
大阪在住・シングルマザーの石橋加奈30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇8歳。
それぞれが息子のユウを育てながら忙しい日々を送っていた。辛いことも多いけど、幸せな家庭のはずだった。
しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。果たして3つの石橋家の行き着く果ては……。
どこにでもある家庭の光と闇を描いた、衝撃の物語。
冒頭、ショッキングなシーンから始まる。
この怒りに任せて9歳の「ユウ」に暴力を振るっている母親は誰なのか?
その後3つのそれぞれ幸福な家庭の物語が始まる。
裕福でゆとりある愛情で子育てをしている あすみ。
活発な息子たちに日々消耗しながらもライターの仕事を再開したいと思っている 留美子。
貧しいながらも元気いっぱいに働いて子供との生活を大切にしてる 加奈。
怒りに我を忘れるような母親も家庭も誰にも当てはまらない気がする。
ところが、少しずつ歪んでいく幸福。。。
盤石な幸せなんてありえないのか
3人の誰とも環境が違うけれど、子供や夫へのいら立ち、周囲の視線、違和感のある反応、そして徒労感・・・
身に覚えのある心情が痛い
読んでると、どの家族にも不幸な事件が起こって欲しくなくて読むのがやめられない!
寝る前にちょっとだけ読むつもりが ・・・次の日仕事なのに困った
結末はずるいような気もするけど・・・これしかないような気もして納得してしまいました。
ラスト、未来に向けて新しい一歩を踏み出したようで、まだまだ具体的な不幸な要素も想像できてしまうそれぞれの家庭。
人生なんて本当にわからない・・・
余裕がない時こそ人間性は顕わになってしまうもの
よく結婚して変わったと言うけれど、夫婦二人なら底を見せずともある意味気取っていられると思う。
でも子供を育ててるとそうはいかない。こんな人だったのだと思い知らされる事あり。。。
主張して戦いながら事態を改善しようとする 留美子と、何も言わず飲み込み自分なりの心のやり場をみつける あすみ。
どちらも極端な気がするけど、気持ちはすごくわかります
これはあくまで妻の側からの物語だから、夫の言い分もあるだろうけどね