診察したいんです、あなたのセックスを――
若き美貌の麻酔科医・野宮万浬のペインクリニックに現われた貴井森悟は、彼女にとって舌なめずりしたいような実験材料だった。
森悟はビジネスの最前線である中東の紛争地帯で爆弾テロに遭い、痛覚を失って帰国した。末期ガンの病床にある曽根老人から紹介されてクリニックを訪れた森悟は、身体の痛みを失っているという理由から、万浬の注目を惹くことになる。
セックスを伴う「診察」が繰り返される中で、森悟は、紛争地帯で遭遇した事件の詳細を語る。
万浬は、実は心に痛みを覚えたことのない女性だった。彼女がそうなったのは、トラウマがそうさせたわけではない。どうやらそれはDNAのためであるらしかった。
万浬は自分が、世間の人々を、なぜ、そしてどこがどう違っているのか確認せずにはいられなかった。彼女の一族の過去が、薄皮をはがすように一枚一枚暴かれてゆく……。
心の痛みのない女と体の痛みを失った男。そこに愛は生まれるのか。進化の扉は開かれるのか。倫理や常識を超え、今、DNAの壁が決壊する。
心に痛みを感じないのは、人間の進化なのか?
心が痛まない万浬は人を愛することもない。。。
戦争を経験した二組のエピソード、万浬の祖父母。不思議なカリスマ亜黎と曾根。
どちらも戦争は人を愛する傷みが原因だと語られる。愛する人を傷つけられ祖国や財産を奪われる恐怖が人を戦争に駆り立てる。
愛という心の痛みを持たない新しい人間こそが人類を戦争の危機から救う希望となる。。。
うーーーん、心に痛みがないのは平和をもたらすの??万浬には良心が無いから周りの人間を傷つけ諍いを生み出してばかりだけど・・・
そんなのは人類の福音に比べればささやかなバグなのかしら?
心に愛の痛みを持たなければ幸福は得られず、その生は虚しくなる・・・のでは?
けれども美貌と知性にあふれる万浬の丁寧な暮らしぶりは虚しさなんて無縁。
興味深い人間の観察と残酷な実験は飽くことのない人生のテーマになっている。
善良なる平凡な人々が、万浬の理性と行動力でボロボロにされるのがいたたまれない
人間の身体を内側からも外側からも抉るような濃密な内容。
上下巻おもしろく読破はしたけど・・・凡人の脳でははまったく共感できず
亀は鳥の真似なんかしません
っていうか、鳥の影響もうけませんけど