本棚の宝物

読書感想が中心です。あとは、日々のちょっとしたことと 手作りした作品などなど。

朝井リョウ

「死にがいを求めて生きているの」 朝井リョウ



植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは?

毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。

交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた“平成”という時代の闇が露わになる

―“平成”を生きる若者たちが背負う自滅と祈りの物語。


同じ螺旋プロジェクトでも伊坂作品とはまったく違う世界!
まぁ、プロジェクトの狙いはこれなんでしょうけど

海族と山族の太古から続く対立がユーモラスな物語になっていた伊坂に対し、
こちらは、社会と人間関係で息苦しい・・・いつもの朝井作品。

人生のピークは人それぞれ。
小中学生の時にピークを迎えてしまった後も注目を集め続けようともがく生き方が痛々しい。

そんな無理はいつしか他人に透けて見えてしまい、
嘲笑されているのを自ら目の当たりにしても後に引けず自滅していく。

正直、わたしにはわかりません。。。いいじゃない生きてるだけだって
そんなにわかりやすい「生きがい」がなくちゃだめなの?

でも、そんな生き方を選んでしまう理由が「海族」の生まれにあるなら、抗えないってことでしょ?
なんだか気の毒。。。



裏に隠してた本音が他人に容赦なく暴かれてしまう感じ・・・これは、「何者」と同じような居心地の悪さ  これ持ち味?
でも、楽しめたけど


「何者」 朝井リョウ



「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」

就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。

学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……

自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。

影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。

第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞



勉強だけしていればいい受験と違って、就活は本当に大変そう。

なかなか決まらず周囲から取り残されてしまう焦りや
はっきり理由がわからないままに自己否定され続けるよう辛さ

わたしだったらやり遂げられる自信はないわ。。。
大勢の中にいて自己アピールするなんて絶対無理

同じ大学の身近な存在の友達の成功は、表面で祝福をしても
妬ましさとそれを隠す葛藤で苦しくてたまらない。
些細な何かが勝敗を分けているんだろうけど、それは何だかさっぱりわからない。

とても仲の良い友達を含めて周りの人間を批判してみたくなる気持ちは理解できる。
同じくらいの年齢がどっさり集まってる学生時代は
自分と他人の違いが気になって仕方ない。
考え方、好み、趣味、言葉のチョイス・・・
それを冷静に観察してしまう若気のいたりはよくある事ではないかしら?


ただ、昔はそれを部屋でこっそりノートに書いたりしてたんだと思う。
その冷たい冷静な人間観察を自分が書いたと知られずに人の目に晒すとしたら、
どこかにノートを意味ありげに置き忘れたり落としたりするデスノートシステムを取らなくちゃならなかったけど(めんどくさい・・・)
今は「何者」かになりすましてツイートするだけでいい。


簡単に、良心のとがめもさほどなくできてしまうことだけど、
あきらかに自分の言動、生活までもが身近な人に批判され、否定されているのを見つけたら、
これも辛そう・・・背筋が寒くなるような・・・


悪口っぽい批判は、あけすけに言葉にしてしまうことでストレス解消になるんじゃなく、
余計に自分の毒の内毒素でやられちゃいそう。


記憶に残っていても記録に残しちゃいけない言葉ってあると思う。

何かを造ったり、行動を起こすのはたいへんなのに
人の努力を言葉で簡単に否定してしまうのは容易いんだよね

「桐島、部活やめるってよ」 朝井リョウ



バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が、突然部活をやめた。

それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、
小さな波紋が広がっていく…。

野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。

部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。

第22回小説すばる新人賞受賞作



本屋さんで、このタイトルが表紙の中央にでっかく書いてあるのを見て
気になった。

「桐島、部活やめるってよ」・・・「なんで!?」と、まず思った。。。

えっと・・・桐島って誰?はその次。

そのくらい、すんなり心に入ってきたタイトル。


わたしも部活と好きな人が中心のまっとうな(?)高校生だった。
部室とか、練習終わりに見た夕焼け空とか今でもリアルに思い出せるのにびっくり


いたよなぁー。部活がんばったところでプロになるわけじゃないのに・・・的なこと言ってた友達。
菊池君の違和感にとっても共感


そして、目立つ風貌のトップグループと地味な子達のグループにははっきり上下関係がある・・・といのも懐かしく思い出したわ。
同じ年齢の子が同じような服装で集められれば、ルックスが際立ってしまうのは仕方ないよね。
ルックスは普通でも飛びぬけてセンスのいい子はトップグループだったけど。

たとえば、映画部の前田君みたいな人がクラスにいてもきっと親しくならなかったとは思うけど、
きっと話せばおもしろい人もいたんだろうなぁ。
なんで運動神経があんなにも男子の評価に大切だったんだろう。。。
友達の彼だってみんな運動部の男子ばっかりだったような。そう言えば。。。


ノスタルジックなストーリーなのにセピア色にはなってなくて水っぽい生々しさがあるのは、
著者がまだ現役大学生だからかしら?


高校の時には確かにトップグループだったのに10年後には。。。なんて人が結構いるのをまだ経験してない感じするもん。

なんで、あの人あんなにモテてたわけ?・・・なんて残酷なこと平気で言われちゃったり



人生の一瞬のきらめきだからまぶしかったりするのかしら。せつないね。
最新コメント
プロフィール

樹里

本が大好き。図書館ヘビーユーザーです。
編み物やビーズで手間のかかるモノを作るのも好き。
ラルクアンシエルらぶ。

好きなテレビ番組は「ブラタモリ」タモリが持ってた江戸の古地図ハンカチが欲しい!

好きなアニメは「東京リベンジャーズ」と「呪術廻戦」関東事変も渋谷事変も終わってしまって寂しい。早く続きが見たい^^


カテゴリ別アーカイブ
にほんブログ村 小説ブログ 小説読書感想へ
にほんブログ村


にほんブログ村 ハンドメイドブログ 編み物へ
にほんブログ村
QRコード
QRコード