永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景・・・。


死期が迫った主人公の父親が見せたパノラマなのかしら?


最初は、30年前にワンマンな父親に反発した兄が自殺した日だった。
本当はあの日、何があったのか?
地下鉄の通路や闇はいくつもの時代に通じていて、
次第に父親の若き日の姿を見せていく。


これ、すっごくおもしろかった!
今まで読んだ浅田作品の中で一番良かった 笑顔


やたらに出世したイヤな強欲じじぃと思っていた父親。
その戦前、戦中、戦後を生き抜く姿を見て、
次第に存在を身近に感じていく主人公。


親子の葛藤だけじゃなく、サスペンス風に展開する人間関係もおもしろいし、
昭和ってなんてめまぐるしい時代だったんだろうて改めて思った。
すべての交通が途絶した戦時下でも、地下鉄だけはダイヤ通り運行してたとか、
戦前の銀座はアールヌーボーのとても美しい街だったこととか
知らない話もいっぱい。


地下鉄は新しい路線も増えていくけど、
とても古いホームとか階段や地下道も残ってたりする。
そんなところが本当にタイムスリップの入り口になってたりしそうな気がしてくるから不思議。


わたしは、子供の頃銀座線が怖くてたまらなかった。
走行中に電気が消えることや、車両や通路の古びた感じが不気味で(T▽T)
こんな小説を読んでいたら、もっと違う気持ちで乗れたかも(笑)


人情風味なのが鼻について今ひとつなモノが多い浅田作品。
これは、とってもいい感じで読めました 本

kenちゃんも読んだかな?(゜ε゜)ぷっ