一番近くにいるのに誰よりも遠い。
海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。
8年後、その姿が目撃される。そして、無言電話。
夫は生きていたのか。
塩崎早樹は、相模湾を望む超高級分譲地「母衣山庭園住宅」の瀟洒な邸宅で、歳の離れた資産家の夫と暮らす。
前妻を突然の病気で、前夫を海難事故で、互いに配偶者を亡くした者同士の再婚生活には、悔恨と愛情が入り混じる。
そんなある日、早樹の携帯が鳴った。もう縁遠くなったはずの、前夫の母親からだった。
ささやきの音源はどこにある
家族の失踪を扱った作品なので、著者の直木賞受賞作「柔らかな頬」を思い出した。
やはり真相はわからないまま、周囲の人間の心模様と複雑な人間関係の物語を想像したら
半分当たって半分違ったという感じ
消息のわからない夫との離別は辛い。
死別や傷つけあっての離婚より前に進めないのは、もっともっと苦しいと思う。
消息時に夫の友人も捜索を手伝って心配してくれたようだが、
みんなが言い出せなかった少しづつの隠し事があった。
それが8年経ってから明らかになってくる。
なんで今になって?とは思うけど、探る方も探られる方も8年経ったから言えたのか。
早樹にしたって生活に必死だった頃には気が付けなかったことが、再婚して落ち着いた・・・落ち着きすぎた日々のなかで見えて、囁きが聞こえてきたのかも。
悪意も善意も併せ持っているのが人間だけど、一番苦手だと思ったのは前夫の義理母
再婚を快く思わないのは仕方なくても、不快をあらわにするのは酷すぎる
早樹は親切によく付き合ってたと思う。それなのに不人情だとなじられるなんて。。。
母にとって成人まで育て上げた息子の代わりはいないけど、
妻にとって夫は必ずしもそうではないから・・・
ま、ここの繋がりがなかったら展開しないんだけど
同い年の義理の娘・真矢との関係もそうだけど、敵意さえも見せる相手と繋がりを持つのに感心しちゃう
そんな早樹でもこの結末は絶対に赦すことはできない。。。よね