杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。

「絶対零度」……杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができないままで、メールも繋がらないのだという。杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。

「華燭」……杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。会場で杉村は、思わぬ事態に遭遇する……。

「昨日がなければ明日もない」……事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。「子供の命がかかっている」問題だという。美姫は16歳で最初の子(女の子)を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった……。

『希望荘』以来2年ぶりの杉村シリーズ第5弾


このシリーズ心待ちにしていました!期待通り

依頼人が少なくて、収入面ではオフィス蛎殻の下請け仕事が頼みの杉村探偵事務所。
その数少ない依頼は、最初はささいなトラブルの様なのにどんどん問題の根が広がり、事件性を帯びて陰惨な影が・・・

ちょっと困った女・・・どころか、なんの同情も共感もできないのが「絶対零度」の優美。
このイケメン夫もすごく気持ち悪い。先輩や上司の指示が常識や法律以上に大切になってしまう頭が筋肉質な輩
母親の「被害者」という言葉があまりにも不愉快
最後に登場した捜査一課の継続捜査班、立科警部補。この捉えどころのない人物、今後も関わってきそう。。。

と、思ったらさっそく最後の「昨日がなければ明日もない」で大事な場面で登場。
この依頼人の美姫も妹の「典型的なバカ女」という表現がぴったり。
前作にでてきたような悪意の塊のような人間なわけではないのだけれど
美しいけどこれなんだか不吉な感じ、最後に凶器になるのでは・・・というモノが途中から気になって気になって
凶行のシーンがくっきりと映像で浮かんでしまいます。。。

「華燭」も同様、姉妹の逃れられない確執。

人生は自分で選んできた道だと思えば受け入れて前に進める。
(諦めもあるけど
それが姉妹のやらかしたことで無理やり選ばされた人生では・・・

家族の「絆」が切ない3編。



子供が絡むと離れている娘・桃子を思い出して涙もろい今作の杉村。
大家の大家族竹中家の人々と良好な関係を築いていて、バツイチでも意外と孤独ではないのでちょっと安心