ある日、作家の「私」に接触してきた真野と名乗る正体不明の男。彼が語る内容を小説にして欲しいと言うが。(「幽霊」)、

学生時代の友人が語る、携帯が圏外になり思いもよらぬ人物が集う「村」の秘密。(「村」)、

キャバクラの勤め終わりの女性を、家まで車で送り届けるドライバーは何を隠しているのか。(「確認」)

どれもが読了後、虚実の有無をいやが応にも考えさせられるミステリアスな作品集


「新宿鮫」シリーズも読んでいないので、著者の作品は初めて。
本屋さんでよく見かけても読んだことのない作家さんて結構多いものね。

作家の主役が著者と重なるのでやけに現実感のある不思議な短編集。

一番印象に残ったのは、解体作業中にみつかった持ち主不明の500万円の真相 「大金」
1964年に事故で亡くなった友人の父親が実はCIAに殺されていたらしいという「不適切な排除」よりもスケールは小さいけど本当にありそうでちょっと怖い

作家の人間関係がホステスさんのいるクラブやバーで展開していくのが
ちょっと昔の雰囲気です

それにしても・・・
ほぼすべての作品中に書かれている「作家の苦労」
たいへんな思いをして作品を書いても出版不況は深刻。。。

「図書館で本を借りて読む習慣をもつ人は、まず書店で本を買わない」

なんだか申し訳ないような気持になりました