最強の殺し屋は―恐妻家。

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。

兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。

引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。

こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。

『グラスホッパー』『マリアビートル』に連なる殺し屋シリーズ最新作!書き下ろし2篇を加えた計5篇


伊坂作品には以外な一面がある殺し屋が出てくるけど、兜は妻帯者の殺し屋。
グラスホッパーの槿とは違って本物の家族。裏家業は家族には秘密。

「妻に秘密のある夫は優しい」の法則通り妻の機嫌を第一に考えている。
努力はあまり報われてないけど

蟷螂の斧をみくびるな「AX」
庭のスズメバチの巣を駆除する「BEE」
ボルダリングジムで同じく恐妻家の友達ができる 「Crayon」
殺し屋からの引退を決意する 「EXIT」
そしてその10年後、すべての決着がつく 「FINE」

10年前の仕掛けのパズルがはまって機能するのは、ちょっとできすぎだけど楽しめた
決着つけるのに10年も必要だったのかな?と思うけど、
高校生だった息子の克己が大人になり結婚し息子を持って
父の気持ちに寄り添うために必要な時間だったのね。

ラストの会話であれほど妻の機嫌を取り、気を遣い続けていた夫の気持ちにまったく妻は気がついていなかったオチと
二人の出会いのエピソードにはほっこりさせられました

ただ短編だったので、「グラスホッパー」 「マリアビートル」 に比べるとあっさり薄味の印象でした。