人生を賭けた激しい願いが、6つの謎を呼び起こす。

人を殺め、静かに刑期を終えた 妻の本当の動機とは――。

驚愕の結末で唸らせる表題作はじめ、

交番勤務の警官や在 外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなど、

切実に生きる人々が遭遇 する6つの奇妙な事件。

入念に磨き上げられた流麗な文章と精緻なロジックで魅せる、

ミステリ短篇集の新たな傑作誕生!


2014年のミステリー年間ランキングで3冠など、
いくつもタイトルを取った話題作だったので、前から気になっていました。
図書館で予約多数のため諦めてた作品

6編どれも雰囲気がぜんぜん違うのにそれぞれ悲しい。
人間の執着、保身、成功欲・・・何かに囚われた結果の怖さ

箸休め的な短編が一つもなく強烈な作品集です。

どれも主人公の一人称で描かれているので、
運命に翻弄されながら真実に辿り着く過程に読み応えあり。

バングラディッシュの天然ガス開発を巡る熾烈なビジネス戦争の顛末、「万灯」
両親の離婚調停に謀をする美少女の妖しさが戦慄の 「柘榴」
昭和の香りと貞淑な妻の殺人事件の真相、タイトルの「満願」

「夜警」で殉職した若い交番勤務の警察官の仕事ぶりを見てきた上司の言葉が印象的。

「臆病者は転じて慎重な警官になるかもしれないが、小心者は仲間にしておくのが怖い」

臆病者と小心者。同じ様で違うのは、何か。
臆病者は無謀よりずっといいが、小心者は自分のミスが発覚しないための誤魔化しが破滅をまねくことも・・・

これは警官以外の仕事にも当てはまりそうです