本棚の宝物

読書感想が中心です。あとは、日々のちょっとしたことと 手作りした作品などなど。

「オール・ノット」 柚木麻子



友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。
貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。
「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」
彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。


過去から近未来までの女性たちの物語。
おもしろかったけど・・・もの悲しくてちょっと苦い

真央は頑張り屋の苦学生。彼女のぎりぎりの生き方が苦しい。
でも、そんなに奨学金の返済がたいへんなら、なぜ国立大学目指さなかったんだろう・・・とか、
最初に提示されたような将来を再設計できるほどの金額ではなかったとしても
四葉さんから渡された宝石が100万円を超える金額になったのなら、もっと感謝するべきじゃない?
とか、もやもやしてしまって

憎めないキャラではあるけど、自分の好きに生きてるだけの実亜子も共感もてず

四葉さんは妖精なんじゃないかと思うくらい実在感ないし

でも、誰にも感情移入はできないながらも
山戸家の戦後からの物語もおとぎ話のようで引き付けられる。

コロナ禍を乗り切ったかと思えば、日本はどんどん貧しくさらに生き辛いさが加速していく

悲惨な未来の展望に暗澹とした気持ちに

なのに、なのにこの素敵な装丁。予想を覆す中身にびっくりのお話でした。
溺れる寸前に差し出される一筋の藁。差し出す方もぎりぎりの状態。
これがシスターフッドの現在地なのでしょうか。。。

四葉さんと同じで「幸福な王子」のお話はわたしも子供の頃から好きじゃなかった。
語られていないけど、彼女は王子よりも賢いやり方で幸せな人生を歩んでいたと思いたい



「縁切り上等! 離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル」 新川帆立



最良の離婚、請け負います!
家族はもっと、いろんな形がある。前を向く元気をもらえる、新時代のリーガル・エンタメ!

夫のモラハラと浮気に耐えられなくなった聡美は、子供を連れて実家のある北鎌倉に避難する。そこで出会ったのは、縁切寺として名高い「東衛寺」の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬。勢い込んで紬に離婚相談をした聡美だったが、思いがけないことを言われ……。

離婚したいと思ったらまずは何から? 財産分与と親権の争い方は? 熟年離婚、同性カップル、離婚前後の泥沼トラブル。切り抜け方は……? 知っておいて損なし! 上手な縁の切り方、教えます。

可愛らしくも方向音痴で意外と天然(?)な紬先生をはじめ、個性豊かなキャラクターが織りなす、温かなヒューマン・ドラマにして、スカッと痛快なリーガル・エンタメ。


新しい人生の一歩を踏み出す決心をした人の味方となる離婚専門弁護士。
悩んだ末に心を決めても、まだ感情が揺れる当事者。そこを冷静な判断でより有利な状況で新生活が始められるように力になってくれる。

それにしても・・・おだやかに結婚生活を送っている夫婦はお互いのことを本当に理解しているのか?
離婚を決意してからの方が隠していた事や知らなかった一面まで洗いざらい全てが曝け出されてしまうような・・・
たとえ幻想でも誤解でも、分かり合っていると思っていた方が幸せよね

扱っている問題はやりきれない話もあるけど、読後はすっきり。
当事者が前向きになっているのと、紬先生のキャラのせいでしょうか

ぜひシリーズ化して欲しいです

「アミュレット・ホテル」 方丈貴恵



警察の介入が一切なく、偽造パスポートでもグレネードランチャーでもルームサービスでお届け可能な犯罪者御用達ホテル。

そこでは守るべき2つのルールが存在する。①ホテルに損害を与えない。②ホテルの敷地内で障害・殺人事件を起こさない。

そんな絶対的なルールが破られる時、ホテル探偵が独自の捜査で犯人を追い詰める。


初めて読む作家さんですが、なかなかおもしろかったです
少ない登場人物、みんなが胡散臭い犯罪者。そんな中、元殺し屋のホテル探偵・桐生が推理を展開する。

この桐生のぶっきら棒な感じや、ホテル専属医師のホストっぽいドクも好印象
登場人物への先入観がひっくり返されたり、違和感が一気に解決されるのも小説ならでは

エピソード1から始まって、エピソード0に戻るのがミソかも。
最後のエピソード3の「タイタンの殺人」のチタン合金のナイフの行方に はらはらしちゃいました
あまりにも従順な犯罪者が悲しい結末でしたが。。。

海外の映画「ジョン・ウィック」にでてくる「コンチネンタル・ホテル」にインスパイアされた作品なんだとか。
この映像作品は見たことがないので、チエックしなければ

「マリコ東奔西走」 林真理子



年明け早々、38年ぶりの書き下ろし小説『奇跡』が大ヒット。コロナの間隙を縫って行われた3年ぶりの桃見の会も大盛況。今年もパワフルに東へ西へと大忙しと思いきや……世間の予想を軽々と超えてくるのがマリコ流。なんと母校日本大学の理事長に電撃就任! 大学の「マッチョな体質」を変えるための最初の一歩を踏み出したのだった。昼間は理事長室に通い、夜には原稿、そして週末は全国を飛び回る。理事長になっても我らのマリコは止まらない。

「週刊文春」の人気ご長寿連載エッセイ、ついに34巻!


2022年1月から2023年1月までのお話。
やはりエッセイとしてはアンアンよりも読み応えあり

もちろんリアルタイムな話題ではないから、
そっか、安倍元首相の葬儀ってもうこんな前だったのね。とか、
ウクライナ紛争はいまだに先が見えないね…など月日を感じます。
最近はテレビでまったく見かけなくなってしまった方の名前が出てきたりとかね。

小説の筆が進まなくなったエピソードはやっぱり心配

「奇跡」は、わたしはあまりはまらなかったけど・・・もちろん☆1をわざわざ書き込むほどでもなかったです

また、おもしろい小説ぜひ読みたいです

「人間標本」 湊かなえ



人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな

蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。
蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。
あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。

五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。
今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。

――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。


正直、いくら耽美的であろうとも猟奇殺人は嫌悪感が
もっと内に潜む悪意みたいなイヤミスのが好みなんだけどな。
ハズレだったかな・・・と、思いつつ読み進めるとなんかまだだまだ裏があり。。。

これ以上悪いことはなさそうなのに、真実はもっと残酷

この親子、息子の方がより父親を理解していたということか。

天才的な芸術家は傲慢なのか。でもちょっと傲慢すぎて昔の少女マンガっぽい。

何も救いがないこの感じ。わかってて読んでるんだけどね
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プロフィール

樹里

本が大好き。図書館ヘビーユーザーです。
編み物やビーズで手間のかかるモノを作るのも好き。
ラルクアンシエルらぶ。

好きなテレビ番組は「ブラタモリ」タモリが持ってた江戸の古地図ハンカチが欲しい!

好きなアニメは「東京リベンジャーズ」と「呪術廻戦」関東事変も渋谷事変も終わってしまって寂しい。早く続きが見たい^^


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