本棚の宝物

読書感想が中心です。あとは、日々のちょっとしたことと 手作りした作品などなど。

「路上のX」 桐野夏生



こんなに叫んでも、
私たちの声は届かないの?

幸せな日常を断ち切られた女子高生たち。
ネグレクト、虐待、DV、レイプ、JKビジネス。
かけがえのない魂を傷めながらも、
三人の少女はしなやかに酷薄な大人たちの世界を踏み越えていく。

最悪な現実と格闘する女子高生たちの肉声を
物語に結実させた著者の新たな代表作


18歳未満なんてやっぱり子供だと思う。
誰かに保護されて守られていなければならないのに。
安心して眠れる場所さえなく、自立するために売れるものは若さだけ。。。
少女を食い物にする男達を憎みながらも利用しなければ生きていけない切なさ

子供の貧困が問題になるくらいだから、
高校にも行けないようなリオナやミトみたいな子供も珍しくはないのだろう。

大切に育てられて学校の他に個別指導の塾まで行かせてもらってるような子だって大勢いるのにね。

そんな日常から親の理由で突然転落させられた真由。
肩身の狭い親戚の家から飛びだしても、頼れる人は誰もいない。
途方もない心細さ

危うい綱渡り。もっともっと酷い目に会いそうでハラハラ

でも、愚かだなんて思えない。16歳のわたしだったらこんなサバイバル絶対に乗り越えられなかった

真由がどんなに苦しかったか訴えても伝わらないもどかしさ。
建前だけで非難され、理解はしてもらえない悔しさ。
そして両親の失踪の真相を知った怒り。

終盤は涙が止まらなかった

もうこれ以上彼女たちが辛い目にあいませんように と祈らずにはいられません。。。




「フォールアウト」 サラ・パレツキー



窃盗の疑いを掛けられた青年が老女優フェリングとともに姿を消した。

探偵ヴィクは、その行方を追ってフェリングの故郷であるカンザス州ダグラス郡に赴く。

過去に核ミサイル配備に対する抗議運動がおこなわれたこの地で、フェリングたちは何かを撮影してまわっていたらしい。

調査を進めていたヴィクは、ミサイルサイロ近くの農家で腐乱死体を発見し…。

シリーズ最大級の陰謀に果たしてヴィクは打ち勝つ事が出来るのか?


大好きな V・I・ウォーショースキーシリーズの新作

シカゴから姿を消した二人を探すためにはるばるカンザスまで行かなくてはならなくなったヴィク。
彼らは自ら姿を隠し、誰かに匿われているのか?、それとも何者かに連れ去られたのか?
どんな事情か事件か、まったくの手探り状態からどうやら1983年の冷戦の名残、核ミサイル反対デモと何やら関係があるらしいことがわかってくる。

馴染みのない土地、閉鎖的な人々。
よそ者に事情を話したくないだけなのか、みんなで何かを隠しているのか?

真相を知られまいと殺人も厭わない者が裏にいることだけは確か

誰もが敵か味方かわからない中、この捜査の旅に同行したハスキー犬のペピーだけが心を和ませる

そんなめんどくさい事件ほっぽりだして、あとは警察にまかせてシカゴに帰っちゃえば?と思うけど
警察も保安官も信じられない。

行方不明の青年がアフリカ系だけに、いきなり保安官に射殺されすべての責任を押し付けられる可能性もあるらしい・・・

老女優エメラルドの少女時代にあった人種差別は、オバマが大統領になった以降の現代でも残っている。

いろんな事情が絡み合って、陸軍大佐、細菌学の大学教授、謎の企業の開発部長と胡散臭い人物が絡んできて・・・
誰が一番の黒幕で、悪人なのか?
こんな陰謀の沼地のような場所から真相を突き止め、ヴィクは無事に脱出できるのか??


ラストのサバイバルシーンのタフなヴィクはさすが

でも、ストーリー全般にもどかしさが先に立ってしまって、
爽快な感じはちょっとものたりなかったかなぁ。。。

50代になっても恋愛に悩むのもタフな感じがしていいな

あと、文庫のみなのは仕方ないとしても、この表紙はちょっと。。。残念

「覆面作家」 大沢在昌



ある日、作家の「私」に接触してきた真野と名乗る正体不明の男。彼が語る内容を小説にして欲しいと言うが。(「幽霊」)、

学生時代の友人が語る、携帯が圏外になり思いもよらぬ人物が集う「村」の秘密。(「村」)、

キャバクラの勤め終わりの女性を、家まで車で送り届けるドライバーは何を隠しているのか。(「確認」)

どれもが読了後、虚実の有無をいやが応にも考えさせられるミステリアスな作品集


「新宿鮫」シリーズも読んでいないので、著者の作品は初めて。
本屋さんでよく見かけても読んだことのない作家さんて結構多いものね。

作家の主役が著者と重なるのでやけに現実感のある不思議な短編集。

一番印象に残ったのは、解体作業中にみつかった持ち主不明の500万円の真相 「大金」
1964年に事故で亡くなった友人の父親が実はCIAに殺されていたらしいという「不適切な排除」よりもスケールは小さいけど本当にありそうでちょっと怖い

作家の人間関係がホステスさんのいるクラブやバーで展開していくのが
ちょっと昔の雰囲気です

それにしても・・・
ほぼすべての作品中に書かれている「作家の苦労」
たいへんな思いをして作品を書いても出版不況は深刻。。。

「図書館で本を借りて読む習慣をもつ人は、まず書店で本を買わない」

なんだか申し訳ないような気持になりました  


「ヒトごろし」 京極夏彦



殺す。殺す殺す。ころしてやる――。新選組の闇に切り込む禁断の異聞!

人々に鬼と恐れられた新選組の副長・土方歳三。

幼き日、目にしたある光景がその後の運命を大きく狂わせる。

胸に蠢く黒い衝動に駆られ、人でなしとして生きる道の先には?

激動の幕末で暗躍し、血に塗れた最凶の男が今蘇る。

京極夏彦史上、衝撃度No.1! 大ボリュームで贈る、圧巻の本格歴史小説の誕生


土方歳三が鬼・・・というよりとんでもないサイコパスとして描かれています。
沖田総司もまぎれもなく同類。ただしもっと質が悪い

最初はいくら新選組が暴力集団だったとしてもこれは酷すぎ。。。と、思ったけど
幕末の政治情勢が混沌としてくると、そのカオスの中にあって
土方のヒトでなしぶりが潔く感じられてくる。

混迷の中でも人を殺せる刀を常に2本も身に付けている士。
サイコパスじゃなくても我が身が不利になれば仲間だって切るし、
極限に追い込まれれば残酷な行為に走ったりもする。

どんなに追い込まれても土方は変わらない。望みは一貫して綺麗にヒトを殺すことのみ。
理解できないが、わかりやすい

そして、終盤の勝海舟との会談。
今まで何度か幕末のドラマで見たシーンだけど、どのドラマよりも印象的

もう、この本原作で大河ドラマになったら絶対に見る!!

まぁ、ならないだろうけど

歴史上の人物をやたら持ち上げてヒーローにするよりずっとおもしろそうなのにな



それにしても・・・・

この本の分厚さって。。。辞典か!1083ページ。
冗談みたいな重さで、読むのに筋肉痛になるわ!

二段にしたら半分の厚みで読みやすく・・・否、持ちやすくなるのに。

これ、京極先生のこだわり?

土方の剣さばきのごとくページをめくるスピード感を大切にしたのかも


「ノーマンズランド」 誉田哲也



またしても同僚の殉職を経験し、心身に疲弊の残る姫川玲子が入ったのは、葛飾署管内で起こった若い女性の殺人事件捜査本部。

心機一転、捜査に集中する玲子だったが、すぐに行き詰まってしまう。
有力な被疑者がすでに別の所轄に逮捕されており、情報が流れてこないのだ。

玲子は、あらゆる伝手をたどり、事件の全体像を探りはじめるが…。


楽しみにしていた姫川玲子シリーズの最新刊

今回姫川の担当した事件はいつもと比べるとごく普通の(っていうのも何だけど。。。)殺人事件。

そこに最初から織り込まれてくる過去の女子高生の失踪がどう絡んでくるのか?

本筋ではそんな複雑な事件でもなかったのに
容疑者を政治的理由で他の署に横取りされてしまったことで捜査は難航。

他所の事件のでっちあげを暴いて容疑者を取り戻す・・・

こんな状況に大人しくしてるわけもない姫川は何やら危険なゾーンに踏み込んでいく

担当事件には直接関係のない政治的背景に近づいてしまう。

単独行動も多いから、結局同じチームにいるのに今回菊田の存在感はあまりなし。
本筋の事件は最後までさほど進展ないしね


一応、おなじみのメンバーは登場してるんだけど、
日下警部補も敵役というより、いい上司ぽくなってキャラ薄まってるし。

存在感が増してるのは、今回もガンテツ。
イヤな奴だけど勝俣が若いころ優秀な刑事だった故に今のような状況になったストーリーはおもしろかった。

そんなちょっとマンネリ感のある登場人物の中に新キャラの検事・武見諒太。
今までにいなかったタイプだし、なにやら恋愛モード。

菊田の結婚生活をひやかしてる姫川は何だかカッコ悪いからいい流れなのか・・・な?




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プロフィール

樹里

本が大好き。図書館ヘビーユーザーです。
編み物やビーズで手間のかかるモノを作るのも好き。
ラルクアンシエルらぶ。

好きなテレビ番組は「ブラタモリ」タモリが持ってた江戸の古地図ハンカチが欲しい!

好きなアニメは「進撃の巨人」season3 早く始まらないかなぁー


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